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 さて舞台は、案山子彦が「のんべえモール」で毎夜歌い始める一年ほど前に遡る。
 
 東西に長く伸びる日の出島は、全地に張り巡らされた高速道路によって結ばれ、
多くの自動車が常に北へ南へ、西へ東へと駆け巡り、
各地の情報や物資が盛んに交換され、全地は常に豊かに潤わされるべく、
忙しく活動していたのであった。

 常世の国による幾の国への攻撃も追々静かになり、
そろそろ世論は常世軍による幾の国遠征に対して、
批判の矢を射始める様になっていたが、瑞霊真如御昇天後の日の出島は、
アケカズ一大白王(ひとひろはくわう)陛下が
常世の国との戦において無条件降伏の御英断を下ししより、
大自在天神と盤古大神の支配下に下り、軍備を廃し、自衛隊を構え、
自由民主主義の体裁を保ちつつ、常世の国の傘下にあり、憂国の志士等は、

「今の日の出島は常世の国の日の出島州である。」

と言っては、大いに憂い、世に叫びつつあった。

が、しかし、その一方で、男尊女卑の旧思想から解放された女流志士達の活躍は著しく、
三五教の対抗勢力たるウラナイ教が盛んに説き広めた、

「日の出島は女でなければ開けぬ国」

という日の出神示にある如く、時には男子諸君を辟易とさせる勢いで、
戦後の奇跡的経済復興の花となり、益々、軟弱化した日の出島の民にとっては、
彼ら憂国の志士による雄叫びは笊耳の如くに右から左へと通過して、
日の出島の政治が、盤古と自在天のあいのこであろうと、
常世の国の日の出島州と軽侮されようとも、
「馬の耳に念仏」よろしく、痛くも痒くもないという逞しさで、
経済制裁的に演出された大不況からも、
漸く景気回復し始めた勢いに、
再び天来の世界の王国としてのプライドを取り戻そうとしていた。

 早駒彦(はやこまひこ)は電信電話局の仕事で、
住み慣れた伊勢丹山の町から自動車を高速道路を飛ばして、
日の出島の西国、阿耶(あや)の里に向かっていた。

制限時速80kmの高速道路を芙蓉山の絶景を眺めつつ走り抜け、
そろそろ嗚和利山(おわりやま)に差し掛かった頃、
早駒彦はハンドルを握りながら、古(いにしえ)の戦国時代に心を旅立たせ始め、
助手席に座っている秀光彦(ひでみつひこ)に向かって語りかけた。

早駒彦 「世に天下統一という言葉があるけれど、男子たるもの、
     一度はこの天下統一ということを考えたことがあるに違いない。
     どうだい、秀光彦。」

秀光彦は、早朝の出立で少々眠気を催していたが、
藪から棒に、こんなことを問いかけられたので、寝ぼけ眼をこすりつつ、

秀光彦 「なんだよ、いきなり。
     また、歴史好きの早駒彦様の時間旅行の始まりかい。」

とぼやきながら、煙草を一本取り出して、
ライターで火をつけると目覚めの一服を無造作に噴き出した。

早駒彦 「この日の出島に興った素本(すのもと)神観では、
     日の出島は世界の型だと言われているのだが、
     その不思議なる神秘の日の出島を例に考えた場合、
     かつて天下統一というのが為されたのは、
     関河原(せきがわら)の合戦が行われた後の松川幕府が、
     最初のことなのではないかと思う。」

秀光彦 「ほうほう、それで…」

早駒彦 「しかし、よく天下ということは言うけれど、
     天上というのはあまり言わないと思わないか。」

秀光彦 「いやいや、お釈迦様が生まれた時に『天上天下唯我独尊』とか言いながら、
     両手で天地を指差したという話はあるぞ。」

早駒彦 「やあ、なかなかの博識だな。よくそんな高尚な話を知っている。」

秀光彦 「馬鹿にしてくれるな。こう見えても俺だって随分と物の本はかじったんだ。」

早駒彦 「そうか、それなら話が早いな。
     その天上天下って言葉があるにも関わらずだ、
     我が日の出島には天下統一という言葉はあっても、
     天上統一という言葉が無い。それが今、ちょいと気になったんだ。」

秀光彦は煙草の煙をうまそうに吐き出しながら、

秀光彦 「天上統一って…、それは宇宙でも統一するってこと?
     早駒ちゃん、熱でもあんじゃない?」

と言って苦笑しながら、反り返りながら早駒彦の顔を見下ろす様に眺める。

早駒彦 「いやいや、そんなSFチックなことじゃないんだ。
     きわめて現実的な話だよ。
     例えば、戦国時代の三大武将の
     信貴(のぶたか)、日出長(ひでなが)、国康(くにやす)は、
     皆、故郷の地から西へ向かって戦を仕掛けて、
     それを天下統一と呼んでいたじゃないか?
     東国に対して戦をしかけるという話は、あまり聞いたことがない。
     せいぜい北西の裏海(りかい)側にある越の国辺りへ進軍した程度だが、
     常に朝廷に向って都上りする様に戦を仕掛け、
     これを天下統一と称していたろ?」

秀光彦 「そういや、そうだな…。それは気付かなかったよ…。…ということは…。」

早駒彦 「そうさ、俺が思うに天上ってのは、
     松川国康将軍が居城することになった大江山城から東北の地。
     これを天上っていうんじゃないのかな?…と、そう閃いたわけだよ。」

秀光彦は「ほお…」と思わず感嘆しながら、早駒彦のことを改めて覗き込んだ。

早駒彦 「当時既に、東北は、朝都(ちょうと)から追い落とされた有力者達が
     落ち延びて集落を作っていて、
     元凡(がんぼん)合戦後に斧倉(おのくら)に幕府を開いた兄、
     元頼彦(もとよりひこ)に追われた
     弟、元義彦(もとよしひこ)の一行が逃げ延びた奥の都や
     夷(えびす)を渡り、万里(まで)に至り、
     厳(げん)の国を興して、その孫が海を渡って
     この日の出島との友好を求めてきたが、
     当時の斧倉幕府の北宗彦(きたむねひこ)がこれを拒んで戦になり、
     神風がこれを追い払ったという歴史があるほど、
     不思議な天裕が働くのが天上世界なんだ。」

秀光彦 「なんだよ、突然、話が飛躍し過ぎやしないか?」

早駒彦の話がいきなり厳の襲来の時の神風に及んだので、
流石の秀光彦も面喰った様子である。

早駒彦 「ああ、そうだ、悪かった。説明が足らなかったな。
     つまり日の出島は世界の型であるわけだから、
     厳の国から見れば、我が日の出島は東北に当たるから、
     天上様になるわけだよ。厳(げん)の国も、
     三大武将同様、西国との戦には強かったが、
     我が神州日の出島だけは攻め取ることが出来なったわけだ。」

秀光彦 「なるほどねえ…、なんだかわかったような、わからないような、
     どうでもいいような話だなあ…
     早駒ちゃんも、それくらい熱心にうちの仕事に打ち込んでくれると
     いいんだがなあ…
     まあ、言ってもしょうがないか、それで、その続きは…?」

と、呆れながらも、この話の顛末が気になるらしい秀光彦が早駒彦にさらに尋ねた。

早駒彦 「ところがそんな神州日の出島なんだが、
     更に東に当たる常世の国との戦には大負けすることになったろ?
     つまり我が神州日の出島にとっては常世の国は天上に位するってわけなんだ。
     日の出島の夷が、この常世の国の型になっているわけなんだが、
     悔し残念な話だけれども、
     妙に納得できる話だなあ…と、今、あらためて感心してるところなんだ。」

秀光彦 「おいおい、早駒ちゃん、
     そんな話はこれから出かける阿耶の里の皆さんにはしてくれるなよ。
     あちら様は、皆、熱狂的な日の出島の愛国者ばかりなんだからなあ…。
     そんな話をされたら、こっちの首がいくつあっても足らないことになるぜ。」

早駒彦 「まったくだな。そんなことになったら、俺達は途端におまんまの食い上げだ。
     この話は、この車内でのしゃぁない話だと思って、
     今後一切忘れてくれたまえ、秀光君。」

秀光彦 「勿論だよ。」

そうこう言っているうちに、早駒彦等を乗せたクルマは、
そろそろ大見峠を越えようとしていたのだった。

    日の出島 天下分け目の 独り言
    美濃か尾張のその中に
    誠の女子が知れたなら
    もう大本も駄目だろと
    などと慢心してござる
    お方が聞いたら目くじらを
    立てそうなしゃあない早駒の
    口の車をついて出る
    ありそでなさそでありそうな
    奇々怪々の物語
    信長秀吉家康や
    源平合戦義経の
    チンギスハン説飛び出して
    元寇襲来神風や
    太平洋戦敗北の
    御因縁らし秘め事を
    他に誰聞く者も無い
    狭い車内で展開し
    高速道路の疾風に
    かき消されつつ忘れられ
    捨て去られたる物語
    アカシヤ年代レコードの
    記憶の底より呼び起こし
    雇用不況の国々の
    誰に語るか伝えるか
    それは神のみ知るばかり
    我はただただカタカタと
    キーボードなど打ち鳴らし
    世界の誠の安泰を
    念じつ祈りつ書き打ちし
    ヤマタノオロチを言向けて
    天上天下のマツリゴト
    無事に行うそのために
    七四十一大神(ななしとおいつおほかみ)の
    役目に徹して世に放つ
    世界の幸を主宰する
    神主幸之王大御神(かむすさのわうのおほみかみ)
    三千世界の救世主
    神素盞嗚大御神(かむすさのをおほみかみ)
    瑞(みづ)の御霊(みたま)の大御神
    ああかむながらカムナガラ
    御霊幸倍(みたまさちはひ)ましませよ
    御霊幸倍(みたまさちはひ)ましませよ

            平成二一年二月一四日 旧一月二十日 垣内政治 識
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